KOJI NISHII
西井浩二 Koji Nishii
CEO/Project Manager/Designer
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「良いオフィス」は、“正解”より“納得”を大切に
—— まず最初に、西井さんが考える「オフィスデザインの面白さ」って、どこにあると思いますか?
難しいですね(笑)。でも強いて言えば、「答えがないところ」かもしれません。オフィスって、ただカッコいいだけでもダメだし、使いやすいだけでも不十分で、会社のカルチャーやフェーズ、課題によって求められるものがまったく違うんですよね。
だからこそ、クライアントの皆さんと一緒に、「うちの会社にとっての“ちょうどいい”ってなんだろう?」と対話を重ねながら、一つずつ答えを見つけていくプロセスがすごく面白いんです。
—— デザインよりも、まずは対話から入るんですね。
はい。テントテンでは、設計や意匠だけではなく、オフィス移転やリニューアルの背景にある「人の動き」や「組織の課題」にも目を向けるようにしています。
例えば、「出社率が下がっているから縮小したい」とご相談を受けても、よくよく話を聞くと「出社したくなるオフィスの設計」が必要な場合もありますし、逆に「集まる場所」より「個が集中できる場所」を求めているケースもあります。そういう“もやっとした悩み”に一緒に向き合って、その会社にとってのベストな答えを導いていく。デザインって、その結果なんですよね。
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“絡まった紐”を、一緒にほどく
—— クライアントからはどんな相談が多いですか?
「何から始めたらいいのか分からない」というご相談が多いです。
移転って、誰もが頻繁に経験することではないので、「そもそもレイアウトってどこから決めるの?」「誰に相談していいか分からない」といった不安が多くて当然です。なので、まずは現状を丁寧に聞きながら、課題を一緒に整理することから始めます。よく「西井さんに話してたら、自分たちでも整理できてきた」と言われるんですが、それがすごく嬉しいですね。
僕の役割って、設計士でも営業でもあるけれど、それ以上に「絡まった紐を一緒にほどく人」だと思っていて。課題を言語化しながら、「じゃあ、どういう空間がいいんだろう?」を一緒に考えていくことが、一番大事だと思っています。—— 実際の設計で意識していることはありますか?
当たり前ですが、「空間は使う人が主役」です。
例えばデザインで魅せたい場所と、実際によく使われる場所がズレていると、どんなに素敵でも“映え空間”で終わってしまいます。だから、動線や視線の抜け、音の感じ方、滞在時間など、できるだけ“人の感覚”に寄り添ってプランを考えるようにしています。あとは、今ある課題に応えるだけじゃなくて、未来の働き方を先取りした設計を心がけています。企業は変化していくものなので、「今だけよければいい」ではなく、少し余白を残したり、将来の変化に対応できる柔軟さをデザインに織り込んでいきます。

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「巧遅は拙速に如かず」が、僕の仕事のスタイル
—— 西井さんが大切にしている言葉や姿勢はありますか?
座右の銘は「巧遅は拙速に如かず」です。
もちろん丁寧な仕事をするのは大前提なんですが、あまりにも完璧を求めすぎて前に進めないのは意味がないと思っていて。まずは試してみる、動いてみる。そこから見えてくることってたくさんあるんですよね。クライアントとのやり取りも同じで、最初から「完璧な正解」を出すよりも、いったん叩き台を出して「これどうですか?」って投げかける方が、結果的に良い形にたどり着けることが多いです。
スピード感と柔軟さ。これって、今のオフィスづくりにすごく必要な要素だと思います。
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オフィスは“目的”じゃなく、“手段”。だからこそ奥深い
—— これから挑戦してみたいことはありますか?
オフィスって、もともと「働く場所」だったけど、これからはもっと「関係性をつくる場所」や「文化を育てる場所」になっていくと思っています。
働き方が多様化していくなかで、ただデスクがあるだけじゃ足りないし、逆にカフェっぽくすればいいってものでもない。その企業らしい“意味のある居場所”を、これからもっと丁寧にデザインしていきたいですね。最近では、コミュニケーションやエンゲージメントといった「空間の外側」のことにも興味があります。オフィスが、会社と社員をつなぐ“メディア”のような存在になっていけたらいいなと思っています。
—— 最後に、オフィス移転を検討している方へのメッセージをお願いします。
「うちのオフィス、何かしっくりこない」「移転って何から考えればいいの?」という漠然としたところからでも、ぜひ気軽に声をかけていただきたいです。
はっきりした要望がなくても大丈夫ですし、「こういう空間にしたい」という理想があれば、そこに一歩ずつ近づける方法を一緒に考えます。正解はひとつじゃありません。だからこそ、「話しながら一緒に見つけていく」ことが、僕たちテントテンのスタイルです。
オフィスって、ただの“場所”じゃなくて、人と組織をつなげ、次のステージへ導いてくれる大事な装置。そんな空間を一緒につくっていけたらうれしいです。
2025年6月
