西井浩二 Koji Nishii CEO/Project Manager/Designer インタビューの第二弾です。
「オフィスも人も“おせっかい”から面白くなる
──西井浩二が語る、仲間探しと二刀流の仕事術」
テーマ1:どんな人に来てもらいたいか?
──テントテンに合う人って、ずばりどんな人ですか?
西井: うーん…経験やスキルがゼロでもいい、とは言いませんけど(笑)、それより大事なのは「聞く力」ですね。聞くって簡単そうに思えるけど、実はめちゃくちゃ奥が深いんです。 たとえば、あるお客さんが「うち、手狭になったから移転を考えてます」と言ったんですよ。普通は「なるほど、それなら広さはこのくらいで…」と進めるところですが、もうちょっと突っ込んで聞いてみたら、「新しい事業を始める予定があって、そのチームが今のオフィスでは動きづらい」という本音が出てきた。さらに聞いていくと、「今の雰囲気だと新しい人材が定着しない」という課題もあったんです。 もし最初の一言だけを鵜呑みにしていたら、その背景にある課題には絶対にたどり着けなかった。だからこそ「聞く力」が大事なんです。
──聞く力って、どうやったら鍛えられるんでしょう?
西井: 素直な好奇心だと思います。「それってどういうことですか?」と自然に聞ける人は強い。あと、相手が話している間は“次の質問を考えない”こと。ちゃんと耳を傾けていると、相手の言葉から勝手に質問が湧いてきます。
──性格的に向いているのは?
西井: おせっかいな人(笑)。お客さんやチームのことを勝手に心配して、「あれ、大丈夫かな?」ってすぐ動いちゃう人は向いてますね。例えば現場で家具の納品日がずれていたら、「まあ担当が気づくでしょ」と放置するんじゃなくて、すぐ確認して調整しちゃう。そういう小さな“余計なお世話”が、結果的に大きな信頼につながるんです。
──おせっかいで得したことってありますか?
西井: ありますよ。あるプロジェクトで、依頼されてないけど「この壁、色を変えたらもっと雰囲気が良くなるな」と思って提案したんです。お客さんは「そこまで考えてくれるとは!」とすごく喜んでくれて、結果的にプロジェクト全体の満足度が上がりました。やらなくてもいいことをやるからこそ、相手の心に残るんですよね。
──逆に向いていない人は?
西井: 「自分の担当はここまで」と線を引く人ですね。オフィスづくりって、営業もデザインも現場調整も家具選びも、ぜんぶがつながってます。だから、役割を狭く切り分けてしまうと、本当にいいものは作れない。もちろん全部をいきなりやれとは言いませんが、「ちょっとのぞいてみよう」という柔軟さは必要です。
──新人や未経験者でも活躍できますか?
西井: 全然できますよ。むしろ、固定観念がない分、吸収が早い人も多い。以前、全くの異業種から来たメンバーがいたんですが、お客さんの話を“素人目線”で聞いてくれるので、僕らが見落としていたポイントを拾ってくれました。それがプランに反映されて、すごく良い仕上がりになったこともあります。 テーマ2:営業とデザイナーの兼務について
──西井さんは営業とデザイン、両方やってますよね?
西井: そうなんです。これ、最初からやりたくてやってたわけじゃなくて(笑)、気づいたらそうなってたんですよ。小さい会社で始めた頃は、人手が足りないから何でもやるしかなくて。営業でお客さんの話を聞いたら、そのまま自分で図面も描く。納期や予算の調整も自分でやる。そうしているうちに、「この方がスムーズだな」と思うようになりました。
──メリットは?
西井: 一番はスピード感。お客さんと話しながら、その場でラフを描いて見せると「もう形になった!」と驚かれます。しかもヒアリングした内容を100%自分の中で消化してからプランに落とし込めるので、ニュアンスが薄まらない。
──大変なことは?
西井: 体力ですね(笑)。昼は現場や打ち合わせ、夜は図面や見積もり作成。日程がタイトな時はかなりハードです。でも、自分が全フェーズに関わっているので、完成したときの達成感は別格です。
──兼務で得られる視点ってありますか?
西井: 営業視点だと「予算と納期」、デザイン視点だと「仕上がりと使いやすさ」。普通はどちらかに寄りがちですが、両方を理解していると、“誰も損しない落としどころ”を見つけやすい。これが本当に大事なんです。
──若手が二刀流になるには?
西井: まずね、「二刀流」って聞くと、最初から営業とデザインを完璧にこなすスーパー人材みたいに思われがちなんですけど、そんな人、僕は見たことないです(笑)。だから、いきなり両方やろうとしないこと。最初は片方をちゃんとやって、その中で少しずつもう片方の要素を取り込んでいくのが一番です。
──片方をやりながら、もう片方を覚えるんですね。
西井: そう。例えば営業からスタートする人なら、お客さんとの打ち合わせの後に「この内容ってどう図面に反映されるんですか?」とデザイナーに聞いてみる。逆にデザインからスタートする人なら、営業がどうやって案件を作っているのかを横で見てみる。 僕が若い頃は、デザイン担当だったけど、営業の人にくっついてお客さんの会社訪問に行かせてもらいました。で、その場で「これがうちの社員の席です」とか説明されるのを聞きながら、「じゃあ、この席の後ろに収納があったら便利そうだな」って頭の中で勝手にレイアウトを考えてました。これ、めちゃくちゃ勉強になりましたよ。
──座学じゃなく、現場で覚えると。
西井: そうです。営業とデザイン、どちらも“現場感”が大事なんですよ。営業は数字や契約の話をするだけじゃなくて、お客さんの会社の雰囲気や人間関係も観察してる。デザインは色や形を決めるだけじゃなくて、現場の制約や施工の段取りを理解してる。それぞれの現場に触れることで、自然ともう片方の視点が育っていくんです。
──最初のうちは、どうしても苦手意識が出そうですが…
西井: 出ますね(笑)。僕も営業的な数字の話は最初すごく苦手でしたし、逆に営業出身の人は「CADなんて無理!」って言う。でもね、苦手なことほど、ちょっとずつでもやると意外と楽しくなってくる。 例えば営業の人が初めて図面を触ると、最初は線を引くだけで四苦八苦。でも、「あれ、この机の位置をちょっと変えるだけで動線がスムーズになるな」って発見があると、急に面白くなる。デザインの人も、お客さんとの打ち合わせで直接反応を見られると、「自分のプランがこんなに響くんだ」とテンションが上がる。
──小さな成功体験を積むことが大事なんですね。
西井: そうそう。二刀流って、才能よりも小さな成功体験の積み重ねです。僕も最初の頃は「営業もやってるのにデザインもやるの?」って周りから驚かれました。でも、打ち合わせでお客さんにその場でレイアウト案を見せたら「これ、もうこれでいきましょう!」って即決されたことがあって。その瞬間、「あ、営業とデザインをつなぐってこういうことか!」って腑に落ちたんですよね。あれは嬉しかったなあ。
──若手が最初の一歩を踏み出すためのコツはありますか?
西井: おすすめは「もう片方の立場で考える練習」です。営業の人は、「もし自分がデザインするなら?」と頭の中でプランを描く。デザイナーは、「もし自分が提案するなら?」とプレゼンの流れを組み立てる。実際にやらなくても、そうやって思考を行き来させるだけで理解が深まります。
──やってはいけないこともありますか?
西井: あるある(笑)。一番やっちゃいけないのは、中途半端に両方やろうとして両方疎かになること。片方の基礎を固める前に、もう片方に手を出しすぎると、結局どちらも成果が出ない。だから「今は営業を軸に学びながら、デザインの入口だけ触る」とか「デザインを軸にしつつ、営業の会話に耳を傾ける」とか、段階をはっきり分けることが大事です。
──若手にとって二刀流は、キャリア的にも有利ですか?
西井: 間違いなく有利です。二刀流になると、プロジェクトの全体像を見渡せるようになるので、自分の動きが相手にどう影響するかを考えられるようになる。そうすると、提案の説得力も増すし、チーム内での信頼も厚くなります。結果的に、任される仕事の幅もどんどん広がる。
──最後に、二刀流を目指す若手へのメッセージを。
西井: 最初からうまくやろうとしないこと。営業もデザインも、それぞれ奥が深くて、一生かけても学びきれないくらいです。でも、両方を少しずつ知っていくと、仕事が面白くなります。僕は今でも「まだ知らないことが山ほどあるな」と思ってますから。 だから、怖がらず、まずは片足だけでももう片方の世界に突っ込んでみてほしい。最初は泥だらけになるかもしれないけど、その泥がいつか、自分の武器になります。
──失敗から学んだことは?
西井: 昔、お客さんの要望を全部詰め込みすぎて、予算がオーバーしてしまったことがありました。営業としては数字を守らないといけないのに、デザイナーとしては譲れない部分もある。そのバランスをどう取るかが一番難しい。でも、その経験があったからこそ「やらない勇気」も持てるようになりました。
まとめ
営業とデザインを兼務することで見えてくるのは、ただの仕事の効率化ではない。「お客さんの想い」と「現場のリアル」、その間にある小さな隙間を埋めていく作業だ。 そしてテントテンが求める仲間は、その隙間を埋めることを面白がれる人。聞く力とおせっかい心、枠にとらわれない柔軟さ。そんな人なら、未経験でも必ず活躍できる。 西井浩二は最後にこう言った。 「オフィスをつくるって、人と人の関係をつくることなんですよ。だからこそ、面倒くさいくらいおせっかいな人と、一緒にやりたいんです。」
vol3に続く。

